エイプリルフールの小さな嘘

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それから、夏が過ぎ秋が過ぎていった。 僕たちは色んな、たわいもない会話を繰り返していった。 顔を知らない相手だけど、それがたまらなく楽しかったんだ。 ……いつの間にか、画面の中のロマンスを感じるようになっていたんだ。 そして、冬を越したある日。 もう春を迎えつつある季節になった。 僕はそれとなく彼女に伝えてみた。 ☺️ <[これから春休みですか? もし良ければ、会ってみませんか] わかりやすいデートの誘いだった。 既読のマークがついたけれどなかなか返事がこなかった。 やっぱりだめなんだろうなあ……。 諦めかけた頃、彼女からの返事があったんだ。 🐹 <[ありがとう。私たちはまだ早いかもね、大学生になったら会いましょう…♪] ……そりゃそうだよなあ。 僕は彼女に、友達以上の関係を期待してたんだと思う。 それからというものの、彼女に返事をすることをためらうようになってしまった。 そして、新年度となる4月1日を迎えたんだ。  ・・・ 僕は久しぶりにeverythingを立ち上げてみた。 先ず目についたのは、まこちゃんの投稿だったのだ。 🐹 <[私の父親ってハムスターなんですぅ~ #質問コーナー] 僕は思わず笑ってしまう。 変わらない明るい雰囲気のまま、エイプリルフールの嘘をついていたのだ。 それは、everythingにある機能のひとつ、<質問コーナー>だった。 質問者は匿名で質問を送ることができる。 僕は、「エイプリルフールに丁度いい嘘をついてください」と書きこんでいたのだ。 彼女は僕の質問だと知らずに、回答を投稿したわけだった。 この子はどこに住んでいるかも分からない。 だけども、こうやって元気に過ごしていればいいんだなって思うんだ。  ・・・
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