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デリバリー
「なぁ娘よ」
「どうした父よ」
「ピザ食べたい…」
「唐突だな」
「うん、なんか今猛烈にピザが食べたくなったんだよなぁ~っというわけで、今夜ピザでもとらん?」
「まぁ私は全然構わないが…昨日ゴミでほとんど出しちゃったけど、チラシとかあったっけ…?」
「何を言ってるんだ娘よ!!」
「えっ、なにが??」
「今の時代、スマホ1つで簡単に注文出来るじゃないか!!」
「…。」
「…なんか言いたそうだな」
「…いやまぁ、前回まではそもそもガラケーを使っていて、そんでLINEの使い方すら知らなかったオッサンが、最近ようやく買ったスマホを使って『デリバリー頼むぞ!』って息巻いているから。なんかねぇ…」
「なんだよ?」
「事故る気しかしないんだよ!」
「なんでだよ!だって父さんLINEはできたぞ!」
「それは出来て当たり前のレベルなんだ~その次でいきなりデリバリーはちょっとアグレッシブ過ぎやしないかい?」
「大丈夫だろ~たかがピザを御注文するだけでそんなひどい間違えは、父さん絶対にしないぞ!!」
「もうその言葉、フラグにしか思えん…」
「それに、父さんは娘にその進歩を見せるため、実はもう頼んであったりするのだ!」
「おい待て事後報告なのか!?完璧なフラグ建設じゃねぇか!!」
「仕事柄ついね…」
「回収されたらついでにアタシも困るフラグなんだよなぁ…それで父よ、何を頼んだんだ?ちょっと注文履歴を見せてみな」
「ん?あぁ、そうだな。これだよこれ」
「ん…うん!?」
「どうした?」
「いや…注文履歴見たら…『デラックスチーズカルテット』っていうエグい名前のピザしかないんだが…」
「あーそれな、最近の若い奴等ってみんなそういうのが好きなんだろ?」
「どこ情報だよ!完全に偏見だよ!最近の若い奴等に属するアンタの娘は、どっちかって言うと普通の王道ピザが好きだったりするよ!なんで通常の四倍の量のチーズオンリーピザなんか頼んじゃうかな~」
「えー食べないの…?」
「いや食べるけども…。」
「じゃあいいじゃないか、おっ!そろそろ来るかな?」
「えっ、もうそんな時間なの?」
『ピンポーン』
「おっ、来た来た!」
「マジか…」
「…」
「…」
「…」
「…あのさ、父よ」
「はい…」
「なんで…4つも頼んだ…?」
「なんでなんでしょう…父さんにも…わからりません…」
「はぁ…完璧なフラグ回収だわ…」
「これが本当の誤注文ってな!!」
「怒るよ!?」
「はい、すみません…」
「…」
「…」
「はぁ…とりあえず、食べようか…」
「はい…」
続く
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