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隠し事
「あれっ?先生と真空ちゃんじゃないですか~」
「こんばんは~与田さんも来てたんですね」
「うん、家内と娘と一緒にね…」
「与田くん仕事はいいのか~?」
「原稿があがらないから今日は休みなんでしょ~?」
「ははっ…まぁその通りです。先生、締め切りは延ばせても3日くらいですからね?」
「わーってるよ~なんなら明日には描きあがるから明日でも良いぞ~」
「明日は日曜日でしょうが!」
「休ませて頂きます…あの、もしよかったらどうですか、あっちの方で…家内と娘も一緒に来ているので…」
「えっ、良いんですか?全然場所が無かったので助かります!」
「この時間帯だと難しいからね~」
「本当に助かるよ~危うくこの熱帯夜を娘に歩かされるところだったからさ~」
「えっ、なにを言っているんだ父よ、私はかき氷が食べたいんだが…」
「さっき食ってたろ?」
「また食べたくなった!」
「どういうことだよ…」
「あれっ…でもたしかお店って、あっちの方でしたよね?」
「そうなんですよね~与田さん達が居る方とは逆の方向なんですよね~」
「…そうだったっけ?」
「そうですね…僕もさっき娘に買ったので、間違いないかと…」
「なぁ父よ、かわいい娘からの頼みだぞ?」
「まさか…おまえ…」
「…父親を何だと思って居るんだか…早くしないと花火始まるって言うのにさ~」
「まぁまぁ、良いじゃないですか。それに丁度買う物があったので、僕としては逆に良かったです。」
「そういう問題じゃなくない?」
「まぁそうなんですけどね…ははっ…」
「…」
「…それにしても、あの浴衣」
「ん?」
「…いや、真空ちゃん…真波先輩に凄い似ていたので、一瞬びっくりしたんです」
「…おまえもそう思う?」
「思います。やっぱ母娘なんですね~」
「そうだな~」
「…それにしても幸哉さん、まだちゃんと、真空ちゃんに話してなかったんですね…」
「…ん?なにを?」
「なにをって…そりゃ…」
「…」
「本当は幸哉さんが、父親ではないって…ことをですよ…」
続く
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