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古い椅子に座った一人の少女が、つまらなそうに暗い窓の外を見る。
蝋燭に灯された弱々しい火は、木造のその建物をわずかに明るくする程度にしかならない。
「……来た」
長い黒髪と赤い目をした少女は、暗闇にいくつもの柔らかな灯りが灯るのを見て呟く。
その灯りは、見ているうちに十個ほどになった。
「本気みたいだね。そろそろ潮時か」
少女は立ち上がり、着ている黒いワンピースの上に黒い上着を羽織る。
そして壁に立てかけておいた二つの短刀を手に取った。
その鞘をかなぐりすて、少女はつぶやく。
「武神アンメイが娘、ヒカリ。いざ参らん」
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