0人が本棚に入れています
本棚に追加
すると男の子が口を開いた。
「花だよ。」
少しかすれた小さい声だったけどちゃんと聞こえた。
花?
うなずいてる。レモングラスの鉢を指してる。
みると細いもしゃもしゃした茎の傍らに、一粒だけの上を向いた藤みたいなのがある。白の仄かな紫の。
ほんとだ。
これは 花。
思い付いたと同時に声に出てた。
「ねぇ、私と一緒に暮らそうよ?」
すると男の子はぴょこんと起き上がり、ベットから降りた。さあ、行こうよ、て感じで。
あれ。
このこ少し背が伸びてる。
この子は時を動かし始めた。
様子を見てた医者たちが目を真ん丸にしながら、でも頷いてる。
レモングラスを片手に、もう一方の手で男の子の手を握って、嬉しくて笑った。
そしたら、
彼も笑ったんだ。
ほら。
はながひらく
最初のコメントを投稿しよう!