38人が本棚に入れています
本棚に追加
クレームを言いたいだけのお客様
当店、季節の変わり目はお客様で溢れています。衣替えの時期でもありますので、夏冬共に色んなお客様がいらっしゃいます。
どこのお店もそうだとは思いますが、春秋彼岸には次のシーズン商品に入れ替えが完了しています。
一月には春物商品が入ってくるので、ブルブル震えながら薄っぺらい冷感商品を並べます。なので服を触るだけで自分の体温が持って行かれます。
九月には秋物商品が入荷するので、汗をかきながら裏起毛のベストを並べます。フワモコな内側はある意味殺意を感じます。
そんな中、あるご夫婦が仲良く買い物にいらっしゃいました。毎回衣替えの時期になると二人でいらっしゃいます。
今回は夏物のTシャツとインナーをお買い上げいただきました。
お会計が終わると、床に置いてあったリュックから何やら取り出して私に見せてきました。
「これ、半年前に買った靴なんだけど、僕の履いていた靴はこんなに側が剝けてきてベラベラになったんです。
こっちの靴は妻が履いていた靴なんだけど、何ともないんです」
色違いのウォーキングシューズを並べて説明をしてきました。
確かに男性用のシューズは本体からゴム底が剥がれていて、痛々しい形をしています。
「そうですね、二足とも痛み方にかなり違いはありますね」
「そうなんですよ。いつも二人でウォーキングするときに履いているんですけど、僕のだけこんなに壊れるのはおかしいですよね。
それに靴底の減り方も僕の方だけ酷いです。しかも減り方が左右違うんです。右側の方がかなり減ってますよね」
「そうですね」
「同じだけ歩いているのにこの違いは絶対に変ですよね。多分これは側の接着不良なんですよ。ゴム底も不良なんですよ」
「はぁ、そうかも、知れません、ね」
「今回はこんな事例があったって事をお知らせしたくて持ってきたんです。だから返品しろとかそう言ったことは無いです」
「はぁ、ありがとうございます」
そう言うと、またリュックにしまって帰られました。
自分、人間皆同じと思ってるんか?
人は個人差があって、みんな同じではありません。同じ距離を歩いても、体重や歩き方、足の蹴り具合で靴の痛み方は違います。
しかも左右の減り方が違うって。右足だけ減ってるって。
ただの右利きやん。
私は同じ商品でも、全て同じではないと思います。色んな所が少しずつ違うと思います。それは一つ一つ人間が作っているからです。
生地の裁断は機械でしたとしても、縫製は人間が仕上げています。その生地自体人間が仕上げています。だから痛み方に違いがあっても不思議ではありません。
ですが今回の件については、上記の違いは当てはまらないと思われます。
残念ながら今回の件について。
本部には報告しませんでした。
と言うより出来ませんでした。
次回の衣替え時は、どんな事を報告してくれるのでしょうか。少し気になります。
本日もご来店誠にありがとうございます。
最初のコメントを投稿しよう!