ニッカズボンの裾上げ

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ニッカズボンの裾上げ

 裾上げは毎日あります。忙しくない時は優先して裾上げをしてあげます。そうすれば取りに来る手間が省けますよね。  店内を散策されている間に仕上げるときもあります。かなり喜ばれます。  最近多いのがニッカズボンの裾上げです。超ワイドパンツで裾が絞られていています。土方さんや鳶さんにご愛用いただいています。  地域で呼び名が違ったりするのですが、当店ではニッカです。ニッカボッカとか七分とかもあります。ボンタンとか言っていたお客様もいましたね。  その特徴的な裾を切り落としてしまいます。なのでニッカガウチョになります。昔で言うドカンです。それをショートパンツ風にして履いている方もいます。  超斬新やな、ニッカガウチョ。  からのニッカショーパン。  先日、外国の方がニッカズボンを購入されて裾上げを頼まれました。下から四センチ上げて欲しいとのこと。そのお客様は片言でそう伝えてきました。 「切るだけなので裾の絞りは無くなりますよ」  首を傾げています。 「裾が広がってスカートみたいになりますよ」  眉間にシワを寄せてOKと言いました。  自分的に、これは分かってないなと察しました。  仕事ズボンの裾がベラベラしていたら作業に差し支えると思います。今回は特殊裾上げしました。しかも無料です。  この領域は仕立屋の仕事になります。一件数千円取られる作業です。暇だった事が理由なだけで特殊裾上げしてしまいました。  裾の絞りをほどいて作り直します。元の形に戻すまでに四十分掛かってしまいました。  その間に来たお客様は三人だけでした。  暇だから出来る作業です。  多分次はないです。当店、仕立屋ではないので。  お客様にお渡しするときに伝えます。 「この裾上げは今回だけです」  首を傾げながらありがとうと言われました。上手く伝わらなかった様です。  頑張ったのに喜んでもらえなかったとか、寂しすぎるやないかい。  本日もご来店誠にありがとうございます。  
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