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チビッコと脚立
少しでも高いところがあったら登りたくなるのが人間の心理です。
山に登る、海に潜る。何かを求めて冒険をするのが大人。
車輪止めに登る、花壇の淵に登る、それはチビッコの心理です。
タンスが開いていたら入ってしまうのはヤンチャな猫です。
商品整理をしているとどこからかチビッコの声が聞こえます。
「ママ見て!」
五十センチくらいの脚立に登って両手を上げて喜んでいる子供がいます。それを見た母親は
「すごいねぇ」
凄くないから、危ないから注意するのが親じゃろが。
そのチビッコはそこから飛び降ります。
「やったぁ!」
やったぁ! じゃねぇよ。親ちゃんと見てろや。
「危ないからダメだよ」
ここでやっと親が注意します。ですがチビッコはまだまだやります。
今度は九十センチ程の脚立に登り始めます。そして高いところにある軍手を持ち出して自分の手にはめます。タッカーで止めてあるのでなかなかはめることが出来ません。諦めたのかその場に捨てました。
そのまま脚立の上から
「ママ!」
母親を呼びます。
「すごいねぇ」
だから凄くねぇから。
そして飛び降ります。
これはさすがに危ないです。声を掛けようとしたら母親が注意に入ります。
「危ないから」
その先は言わないのか?
私はその近くで高い脚立に足を掛けて商品整理をしていました。チビッコはその脚立が目に入ったようで、こっちに近寄ってきます。
そして私の反対側から登り始めました。その光景は中国雑技団のようです。
さすがに二人で演舞をするわけにはいかないので天板をバンッと叩いて注意します。
危ないから登るな。
チビッコは恐れをなしたのか、ゆっくりと降りて逃げていきました。
この脚立は俺の脚立だ!
大人げない私です。
チビッコは怪我されないうちにお帰りになりました。
店内で怪我をしたら店側の責任だと言ってくる親がいます。なぜ注意をしなかったんだと詰め寄ってくる親もいます。
他店舗ではその怪我の責任を取れと凄んできたお客もいたと聞いています。それは親の監督圏内ですよね。
もしかしたら親の監督不行き届きで、そのチビッコが他のお客様に怪我をさせる恐れがある、と言うことを忘れずにお買い物を楽しんでいただきたいと思っております。
本日もご来店誠にありがとうございます。
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