デッドゾーンに商品

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デッドゾーンに商品

 当店の店舗は狭い割に品数は豊富にあります。新作やモデルチェンジした商品以外に、旧作も出さなければなりません。おまけに割引商品も沢山あります。  当店、店の名前を変更しなければならないかも知れません。  あちらの県どちら市駅前通り安売り店。  新作、旧作共に商品を出して並べる事が私共の仕事です。先ずはお客様に手に取っていただくことが大切な瞬間ですから。  そんな山ほどある商品を整理していると、ふと出てくる空のハンガー。  Tシャツ、Tシャツ、ハンガー。  お前は商品違うやん。  ズル剝けて落ちたのかと思い、商品を探してみますがどこにもありません。お客様が商品だけをお持ちになる事もあるので、黙ってハンガーを片付けます。  長い通りを手前から順番に商品整理しながら進んでいくと、ハンガーをかき分けた先に丸くなった物があります。  そうです。先程のハンガーに掛かっていたであろう商品です。  Tシャツ丸め過ぎやん。  しかも奥ツッコミ過ぎやん。  背の高い草むらをかき分けた先に、鳥のタマゴがありました。的な。  そして明らかに丸めて隠した形跡があります。そこはデッドゾーンで見ようと思った人にしか見えない場所です。  まだ明るい色だったので気付くことが出来ましたが、暗色だったら見逃している所でした。  その形のままで時間が経ってしまうと、シワが付いてしまい売り物から除外されてしまいます。なのでこちら側からすると、その行為はアウトです。  もっと気を付けなければならない商品は、ビニール系の物です。エプロンやカッパは時間との闘いです。  カッパ類はほとんどがパッケージされていて、一度出してしまうと私共でも復元するのは至難の業です。  それを袋から出して試着して、元に戻さないまま証拠隠滅のために丸めてポイです。  それを見逃して一日過ぎてしまうとシワシワになりすぎて、元の折り線がわからなくなります。なので元通りにはなりません。  マジ最悪やん。  袋詰めされている商品でも試着したい時は声を掛けて下さい。下着以外だったらおおかた試着出来ます。  その上でサイズが合わなかったりお買い上げでない場合は、私共が頑張って元に戻します。  肌触りやサイズ感は大切です。それと、お客様にはお金を払っていただくので気に入った物、納得のいった物を買っていただきたいと思います。  商品を戻す場所がわからなかったり、試着を迷ったときは、是非とも従業員にお声かけ下さい。  私共は売場のプロですから。  本日もご来店誠にありがとうございます。  
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