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水漏れの防水シューズ
今日は話を全く聞かない厄介なお客様がご来店されました。自分の言い分をひたすら主張するのと、聞いてもらいたいのと、私は悪くないと言いたいのとが入り混じりすぎて、そのやり取りが漫才みたいだったと言うお話です。
「返品」
それだけ言ってコックシューズをレジカウンターへドンと置いたそのお客様は、かなり機嫌が悪いようです。
「箱は?」
「ここにある」
ヘ? 何の事?
「箱が無いと返品出来ません」
「箱はいらないって言ったら、そっちで処分するって言ったんだけど」
「箱から出したら返品交換出来ませんってお伝えしてありましたよね?」
良くよく話を聞いてみると、防水シューズなのに水が入ってきてグジョグジョになってしまったようです。
だったら初めにそう言えや。
買ったばかりなのに、履いて十五分もしないうちに浸水してきてビショ濡れだったそうです。
接着不良も考えられたので交換します。そのシューズは不良品として業者に返品する事にしました。
「水漏れするんですね? でしたら新しい物と交換します」
陳列棚から新しい靴を持ってきました。
「箱は要らないですよね?」
「もらっておこうかなぁ、また返品するかも知れないし」
ヘ? なんで?
「お客様の都合で返品するなら箱は要りますが」
「だから買って十五分もしないうちに水が入ってきて」
「だからお客様は悪くないので箱は要らないですよね?」
「水が入ってきてるんだからもうはけないでしょ」
「今回はお客様の都合で返品したんじゃ無いですよね?」
「だから買って直ぐに濡れたんだよ」
「元々の不良品かもしれないので」
「買って履いたら濡れたんだよ」
終わらねぇ! 全く終わる気配がねぇ!
結局、箱は渡しませんでした。こちらとしても箱を渡す意味がわかりません。
確かに、その防水シューズはお値段が高いです。履いて直ぐに水漏れはイラッとしますよね。それを私共にぶつけてきたのだと思います。
ですが店側としては業者から仕入れて販売したと言う流れであって、元を辿れば中国の工場です。そこには製造する人がいて、更には責任者がいて、製品と言える物を流通させているのではないのでしょうか。
そんな現場の方に代わって、私共はその不良品に対して謝罪をします。
お客様に理解してもらえない分時間も取られてしまいますし、回りの方々のテンションも下がります。誰か中国から謝罪に来てくれないかな。
その前に、ちゃんとした既製品が欲しいです。
本日もご来店誠にありがとうございます。
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