第3章/3人の添乗レディー

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珠玉の展開 「タカコちゃん!どうしたの?あなたも奧山さんの隣にいるんだから、触ってあげなきゃダメよ」 案の定、助手席からこちらを伺っていたりりかが、タカコにハッパをかけた。 「ええ‥」 彼女が明らかに戸惑っていたのは、ひしひしと伝わってきた。 ”まあ、このヒトには場違いだよ、所詮この空間は…(苦笑)。当然、”この先”に躊躇を禁じ得ないんだろう…” この時のオレは既にタカコを見切っていた。 *** で…、オレは敢えて、タカコを無視していたんだ。 この、今一掴みどころのない花タクシーとやらの展開を、生存競争の激しい水商売の世界で身を立ててきたであろう、このりりかというやり手の女が、客から3万を受け取ってどう仕切るか…。 ”りりかを試してやる…” そんな気持ちだったな。 タカコはオレの左足の太もも辺りを”さすって”いたよ。 それはとても男を”触る”…、ではなかったな(苦笑)。 すると‥。 *** 「なにやってんのよ、タカコちゃん。キヨエみたいにもっとちゃんとお触りしなさいって!」 こういった場面において、りりかのような女性は厳しい。 オレは心の中で、”さすがだな”と、ある意味敬意を表したよ。 「奧山さん、キヨエばかりに夢中になってないで、タカ子ちゃんも触ってやってよ~」 りりかはそう出てきたか…。 ならば…。 オレはここで方向転換を計った。
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