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第1章 /本編寄稿アップにあたり
本編寄稿アップにあたり
その1
私は20代後半で起業した。
出だしはそこそこだったが…、リーマンショックでドンと落ち込んだ。
その後、気づいた時は膨大な借金を抱え、やむなく自己破産…。
コンビニのレジ、宅配便のアルバイトを掛け持ちし、青色吐息の極貧生活の最中、一念発起でジャーナリストの道を目指した。
以来、一貫して、私と同様のワーキングプアに身を置かざるを得ない若い女性にスポットを当て、地べたを這いつくばりながらも、ささやかなオンリーハッピーをゲットするまでの姿を伴奏者のスタンスでつづりあげる…。
そんな執筆活動を地道に続けてきた。
不本意ながら、少なからず不運の連鎖の前に、正視に耐えない悲惨な顛末を遂げる女性も見届けてきた。
そんな彼女たちの同意を得た上で、究極のドツボ女子の姿を伝えもしている。
今では女性週刊誌の連載枠を持ち、ネットで発信する場も得て、這いつくばる女のたくましき息吹で、格差社会の厚い面の皮を撫で上げる意気込みだ。
...
そんな取材活動の過程で、彼女たちがやみくもに賃金を得る目的に駆られ、あくまで節操の死守を自戒させたした上で、女性を武器とする、ふと、摩訶不思議な労働経験の奇談を明かされる機会は少なくない。
その中には、まさに耳を疑うような”陽炎ビジネス”に、目の前の生活のためやむくなく、ほんのわずかの期間従事した仰天の幻オーロラ産業がその実態を垣間見せることもある。
それは、往々にして瞬間風速のように、実世間から煙のように消えてなくなる幽霊業態…。
かつてのノーパン喫茶のように…。
中でも、私を今だに衝撃の淵から這い出ることを許さない、因果深い接待輸送業…、通称、”花タクシー”…。
実情として存在した期間は推定5~10か月。
要は半年ないしは1年にも満たず、リアルな都会の喧騒から跡形なく霧散していった、妖艶このかたない風俗カテゴリーに括られた実質違法なビジネス形態だった。
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