罰ゲーム(告白)の時間

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「··········」 「··········」 無言。 とにかく無言。 ただただ無言。 そして何を考えているのか、さっきから俺の顔をジロジロ見やがる·····。 (おいおい、思ってた反応とちがうぞ!?) もっとこう、慌てるとか怒るとか·····感情をむき出しにしてくれねーと! これじゃ、俺が身体を張った意味がねーじゃん! 俺はチラッとドアの外を見た。 すぐそこには、あの二人が聞き耳を立てているに違いない。 予定外のことが起きているのだ、助けてくれたって····· 「君、たしか二組の松山 優希くんだよね?」 「お、おう!俺のこと知ってんだな」 突然フルネームで呼ばれ、不覚にもドキッとしてしまった。 「まぁ君は·····君たちは色んな意味で有名だからね。知らない人の方が少ないと思うよ」 そうだ、こいつは現生徒会役員だ。 響也、雅人を含めた俺たち不良グループは、この学校の生徒会、そして風紀委員にも目をつけられている。 (ケッ、改めて思うことじゃないが、気に食わねぇ奴だな) 別に好きで揉め事を起こしてるわけではない。 いつだって仕掛けてくるのは向こう側だ。 けどこいつらにとっては、そんなの関係ないんだろうな。 (やっぱ、早々にネタばらしして退散するか) 思うような結果は得られなかったが、約束通り罰ゲームは受けた。 後で響也に小言を言われるだろうが····· 「あのさ、実は俺·····」 「うん、いいよ。付き合おうか」 ···············は? 「いや、けど俺は·····」 「だから、付き合おうってば」 ···············こいつ、頭おかしいのか? 生徒会の宿敵であり、しかも男である俺と付き合うだと!? 「ま、待て待て、そんなすぐに返事をしなくてもだな·····」 「え?だって君は、勇気を出して告白してくれたんでしょ? 不良である君と生徒会の僕·····さぞ言い出しにくかっただろうに」 なんだかおかしな方向に話が進んでいる。 こいつまさか、俺の告白を本気で取っているのか。 「最初はね、もしかして俺を騙して話のネタにでもするつもりなのかなーって思ったんだけど」 そうそう、そのとーり! お前の読みは当たってるよ、さすがは次期生徒会長じゃねーか。 「でも、まさこの僕を·····次期生徒会長を欺くなんて愚行は·····いくら君たちでもしないよね?」 「!!?」 俺の背中に、冷たい汗が流れ落ちた。 極度の緊張状態のせいか、体が思うように動かない。
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