BLACK CAT

1/5
前へ
/9ページ
次へ

BLACK CAT

後悔というのは、後からやってくるものである。 自分を振り返り、どうしてあんなことをしてしまったのかと自問自答をする。 ·····まさに、今の俺がそうであるように····· 「·····おい優希、大丈夫か?」 「優ちゃん、どんまい·····」 珍しく俺を気遣うような素振りを見せる2人だが、生憎今は、それに応えられる気力がない。 ただただ項垂れて、歩くのみである。 「·····なぜだ?なぜこんなことになったんだ? ただの罰ゲームじゃなかったのか·····??」 軽い気持ちで始めた罰ゲーム。 その内容は、この学校の生徒に告白しようというものだった。 俺はその罰ゲームをする役として、2人が呼び出したというターゲットの生徒に告白をした。 ·····そう、次期生徒会長とも言われ、人気ナンバーワンである相澤 蓮司に!! 「でもまさか、あの相澤 蓮司がOK出すなんてねぇ〜」 「浮いた話一つも出てこないあの相澤だろ? フリーだとは思ってたけどな·····」 呑気に俺を挟んで話し出すダチに向かって、俺は我慢ならず叫んだ。 「おい待て2人とも!お前ら、一番重要なことを忘れちゃいないか!?」 本当に忘れていたのか、それとも敢えてスルーしていたのか。 しかしこれは、どうしても見過ごせない問題なのである。 「そもそも、どうして男からの告白をあっさり受け入れたんだ!? 普通同性から告白されたら引くだろ!!?」 それともなんだ? あの人気アイドル様は男が好きだってか? あいつホモじゃん!! 「あー、だから今まで彼女の噂なかったのかなぁ?いくらあの相澤君だって、自分が男好きなんて言えないもんね〜」 いいネタを掴んだとばかりにニヤつく響也。 確かに、生徒会とあまり相性の良くない俺たちからしたら、美味しい話ではある。 なんせ、あの鉄壁(生徒会)に傷をつけられる話題でもあるからだ。 しかし····· 「俺·····当事者なんだけど」 なわけで、今回の件に対しては全くもって面白みを感じない。 むしろ、何かしらの危機さえ感じる。 「ま、それも含めて、"我らがリーダー"に相談しに行くんでしょ〜? あの人は気まぐれだけど、可愛い子分の頼みならきっと乗ってくれるよぉ?」 響也のこと言葉に、俺は下がった肩を少ピクリと動かした。 「·····まぁ、まともな答えが返ってくるとは思えないが·····俺たちが信頼出来る人って、限られてるしな」 そうだ、俺にはリーダーがいるではないか·········· 俺たち三人が憧れ、尊敬しやまない人物。 俺たちに居場所を作ってくれた、信頼できる数少ない人。 「BLACK CATの·····俺たちのリーダーがな!!」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加