BLACK CAT

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ガヤガヤと賑わう繁華街。 そこから少し逸れた細い道通りに「BLAC CAT」の拠点がある。 「相変わらず人通りが少ないねぇ。 リーダーもなんでこんな所を拠点にしようとしたのかなぁ」 「·····ここだから、だろ。今はまだ明るいが、夜になると色んなやつがここらを歩き回る」 「俺は好きだけどな、ここ」 目の前には、寂れたビルが立ちはだかる。 俺たちはその正面入口には入ることなく、外側にある下へと続く階段を降りていった。 外界の光が届かなくなり、周りがだんだんと薄暗くなってきたところに、それは現れた。 「purple」と書かれた看板を掲げだ、古風ある扉。 普通の学生ならば、周りの雰囲気や店の佇まいで入るのを躊躇うだろうが、俺たちは違う。 まるで我が家にでも入るような気持ちで、躊躇なく店のドアを開けた。 ガラガラガラッ 「ういーす!リーダーいますか???」 「僕達か遊びに来てあげたよぉー」 「·····お邪魔します」 人通りが少ないところに建つ寂れたビル。 しかしこの店の中は、外見とは異なる空間が広がっていた。 「あれ?もしかして誰もいない?」 店の電気という電気が消されている。 まだ開店時間では無いのだろうが、もしかして留守か·····? 「いや、さすがにこのご時世に鍵を開けっぱにはしねぇだろ」 暗い店内をゆっくりと進み、奥の部屋へと進んでいく。 ·····まるで泥棒になった気分だ。 「·····あれあれ、子ネズミ三匹がうちの店になにようかな??」 「「「!!!???」」」 声にもならない悲鳴を上げた俺たちは、3人一斉に飛び跳ねた。 バクバクと心臓が脈打つ中で、店内の灯りが一気に広がっていく。 そして、俺たちのすぐ近くに置いてあるソファーから、ぬうっと人影がはい出てきた。 その姿を見た俺は、体の力を一気に抜くことができた。 「ちょっとナオトさん!!驚かせないで下さいよ!!」 「あは、ドッキリ成功?」 イタズラっ子のように舌を出し、俺たちにピースを向けた見目麗しい人物。 一見女性に見間違う程のその美貌は、異性だけでなく同性の男をも虜にするだろう。 「なんでこんな所で寝てるんですぅ? 風邪引きますよぉ〜」 落ち着きを取り戻した響也が、いつもの調子でナオトさんに近づいた。 「え?だってまだ開店時間には早いし、ここは僕のお店だから·····僕が何をしようが自由だよね?」 再びソファーに腰を下ろしたナオトさんは、ここ「purple」のオーナーである。 BLACK CATのリーダーとは昔からの馴染みのようで、よく二人が一緒にいるのを見かけるのだ。
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