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「リーダーー!遊びに来ましたよぉ〜!!」
遠慮の「え」の字もない響也は、階段を登るなり勢いよく部屋へと飛び込んだ。
毎度の事ではあるが、少しは自重した方がいいのではと思いつつ、俺達もその後ろをついて歩いた。
白を基調とした広い空間。
元々倉庫として使われていたこともあり、広さはかなりのもの。
そのど真ん中にはガラステーブルが置かれており、それを囲むような形でソファーが3つ配置されている。
この部屋の物と言えばそれくらいなのだが、その他にもメンバーの私物やらなんやらがゴチャゴチャと置かれているため、お世辞にも綺麗な部屋とは言えないだろう。
例えば部屋の隅に置かれた観葉植物たち。
どう見ても得体の知れない外来種が混ざっているが、これも完全にメンバー内の誰かによる趣味だ。
その他にもバスケットボールやら靴やら、無駄に揃っている漫画本など、個々に持ってきては自分のテリトリーに置いている。
ちなみに俺は、いつもお菓子を買いだめしてみんなに分けたりしているから、お菓子箱が幾つか。
「あれ、リーダー?
どこにいるの?いないの?」
いつもはメンバーがワラワラいるから気づかなかったが、こうも人が少ないと声が響いて返ってくる。
人がいないだけでこんなにも違うんだなぁ。
「おーいリーダ〜、可愛い子分が来ましたよォ〜リーダーー!!!」
「·····チッ、うるせぇなぁ。
聞こえてるっつーの」
手前のソファーからムクリと大きな塊が這い出てきた。
もそもそと不思議な動きをするそれは、一瞬のうちにその正体を顕にした。
「あ、リーダー!そんな所にいたんだ〜」
「び、びっくりさせないで下さいよ」
真っ黒な毛布からひょっこりと顔を出したのは、我らがBLACK CATのリーダー、坂上 友近さんである。
寝起きで機嫌が悪いのか、鋭い瞳で俺たちを睨み返す。
ガシガシと頭を掻きむしりながら、気だるげに上半身を起こした。
「ったくよぉ、人がせっかく気持ちよく寝てるのに、邪魔すんじゃねーよ」
「·····あはは、ほんとすんません」
ウェーブのかかった髪の毛を後ろにかきあげ、無造作にゴムでくくる。
ゆっくりと立ち上がると同時に首元のネクタイを緩め、上から三番目までのボタンを外していく。
··········なんというか、この人はいつ見ても男が見惚れる程の色男である。
「·····で?なんか俺に相談事があるんじゃなかったっけ??」
「う、うっす!
そうなんですよ、実は··········」
俺は、今日起きた不幸な出来事の数々についてこと細やかにリーダーに説明した。
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