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富田
「お久しぶりです…ETのツアーでご一緒させていただいた以来ですから…何年振り?」
名取橋
「そりゃあ、お互いに歳取るよな」
富田
「まったくです。まぁ…ご存知でない方は、いらっしゃらないとは思いますが。以前僕はETのツアーでキーボード奏者として参加させていただいたことがありまして」
名取橋
「まぁ、その前から靖夫経由でユウちゃんとは知り合いだったんだけどね。なんて言ったっけ?ユウちゃん達のバンドのプロモーションしてくれてた、ドールの…」
富田
「ああ…幸崎さん?」
名取橋
「そうそう、宗太郎。彼、元気?」
富田
「さぁ…どうでしょう。最近お会いしてないから」
名取橋
「ユウちゃんが参加してくれてた頃は楽しかったよな。あの頃はみんなまだ若かったし」
富田
「そうですね…確かに若かった…」
名取橋
「じゃあ、どのくらい若くて元気だったか…こんな映像を用意しました」
と、画面に向かって満面の笑顔で右手を差し伸べる崇志。それと同時にETERNAL TIMESのライブ映像に切り替わる。
富田
「マジで?聞いてないぞ!」
優司達の目の前に用意してある確認用のモニターにも、同じ映像が流れる。それはETERNAL TIMESが第2期の活動を開始したばかりのライブ。後半の盛り上がるナンバー。
オリジナルのメンバーに加え、バンドの正規メンバーに加入したばかりの石川靖夫やキーボードとしてツアーに参加していた優司の姿もある。
ステージ中央の崇志のもとにギタリストの最上直幸、ベースの靖夫、そしてショルダー型キーボードを下げた優司が集まり、明るい照明の中で客席に向かって拳を突き上げている。
富田
「あはは…元気だな」
オンエアー上では左下の小さなワイプに、スタジオで自分の姿を恥ずかしそうに見ている優司の顔が組み込まれている。
名取橋
「ETERNAL TIMESをね…復活させようかどうか、本気で悩んでいたんだ。そんな時に靖夫とかユウちゃんとか、若い連中の姿を見せ付けられて。
活動を再開させるんだったら、こんな連中と一緒に、って条件を出したんだ。だから、今のETがあるのは、ユウちゃんや靖夫達のお陰なんだよね」
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