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路地裏
「はぁっ⋯、は、っ」
「ぅ⋯、はぁ⋯」
夜の世界を象徴するネオンが煌めく通りから一本裏に入ったその通りには人っ子一人いない。
汚れてる訳でもないけど普段なら触る事を躊躇ってしまいそうな壁に手を付きながら歩く。
ズッ、ズッ、と足を引き摺りながら少しずつ通りを進んでいく。
つい30分くらい前私は家を飛び出した。
飛び出したと言っても彼氏の家からだけど。
「も、っもっと、早く⋯こうする、べき⋯だったかなぁ⋯」
キャミソールから出る腕にはついさっき出来たばかりの痣。
短いショートパンツから出る脚にも痣。
血だって出ている。
ああ、痛いなぁ。
本当もう、嫌になっちゃうな。
骨は折れてないとおもうけど⋯だからといって我慢出来るかと言われたら別。
あの男、本気で許さない。
と思いつつも逃げるのがやっとな私。
「っ、う⋯はぁ⋯!」
こんな状態で走ったからもう息も苦しくて、もう痛くて痛くて。
壁についた手をそのままにズルズルっとその場に蹲った。
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