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溝田大悟。
いかにも体育会系の角刈りだが強面ではなく、爽やか細マッチョだ。
上司からも部下からも慕われる人気者。みんなの相談役。
冬はスノボ。夏はサーフィン。いや、冬でもサーフィンだったか。いずれにしても常に日焼けしている。
誰と行っているのか、単独で行っているのか。
いつだかサーフィンは1人で、スノボやダイビングは女の子と行くのだといっていた。
女に不自由しないモテ男だが、昼休みはたいてい会社近くのネットカフェの個室に籠っている。社内にいると目がハートな後輩や、悩みを抱えた先輩などに囲まれて落ち着かないのだという。
表向きはオープンネットでの調べものをしているということになっているが、同期の晴夫は“逃げ”ていると知っている。
「大悟」
ネットカフェから出てきた大悟に声をかけると駆け寄ってきた。
「あれ、晴夫。どうした…。まだ瑠加ちゃんのこと、引きずってるのか?」
抱え込むように肩に腕をまわされ声を潜めて聞いてくる。
晴夫より少し背が高く、肩幅もあるのでがっしりと肩を組まれるとその包容力に頼りたい衝動を覚えた。
「僕、瑠加のこと、言ってた?」
「瑠加ちゃんとじゃないとイケないのかもとかって話し始めた時はちょっと焦ったぜ」
大悟は瑠加の性癖を知っている。
当時、他課の主任だった加藤や、他にも何人かには恋人とうまくいかない愚痴をこぼしていた。
しかし、受け入れがたい瑠加の性癖について話したのは大悟だけだ。
大悟に、ペニバンをつけた瑠加に後ろから責められるプレイを打ち明けたのは、瑠加と別れるとは想像もしていなかったころだった。最初はそのプレイを止めさせるにはどうしたらいいかとの相談だった。それからどんどん快楽にハマっていく自分が怖くて、どうしたらいいのかと相談した。
常識と非常識との狭間で気が狂いそうだった。
毎日でもしたいという欲望に苛まれ、瑠加を好きなのか行為が好きなのかわからなくなっていた。
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