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最初のそれは興奮のわりに快感はなく、違和感が強かった。二度とごめんだと思っていた。しかし一度受け入れた事実のせいで、瑠加の求めを全く拒めなくなってしまった。
そして気付くと、すっかり開発されて、後ろの刺激無しでは満足できなくなってしまった。
それは…自分にその素養があったからだと思わざるを得ない。
男に恋焦がれたことはないが、自分は抱きたい人であり、抱かれたい人でもあると思えば…。すなわちバイなのかもしれない。
今朝見た可愛い西村のミルクのかかった顔を思い出して、下半身が疼く。
しかし西村の下半身に自分と同じモノがぶら下がっているのは想像できない。そういうことだ。
家について、資源ごみの分別箱を漁る。
見慣れないゴミはない。
寝室のゴミ箱に入っていたゴムの残骸は今朝の収集で捨ててしまった。
しかし捨てたゴミの中身を思い出してみても、家になかったモノはなかったはずだ。
大山崎はコンビニで買ってきたものを持ち帰ったのだろうか。
ベットサイドの夜のグッズが減っていた。
変えられたシーツもどこに消えたのだろうか。
あの相手が持って帰って洗濯したのだろうか。それとも証拠隠滅のために捨てたのだろうか。いや、ゴムの中身の方がよほど証拠になる。
それらを残しているということはシーツなどをいずれ返してくれるつもりなのだろうか。今、嘘をついて隠しているのにか?
スマホが鳴った。
見れば西村からだ。
「もしもし」
『夜分にすみません。ホントは今日、直接報告したかったんですけど、全然お話するチャンスがなくて』
勢い込んで喋りだすもんだから思わず笑う。可愛い。
「どうした?」
スピーカーの向こうで西村が息を整えるのが聞こえる。
『おかげさまで、お付き合いすることになりました!』
そうか、高村が言っていた恋愛相談のもう一人は西村だったのか。
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