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怪訝そうに大山崎が顔を上げると、グイっと奥に進めて、彼の下腹部の柔らかいところを踏んだ。すぐにそこが固くなってくる。
「僕、どんな風に誘ったの?」
ポンプを踏むように足を動かし続けていると、大山崎のパンツが湿る。こんな風に足蹴にして、惨めな思いをさせ、それなのに足の裏に当たる硬さを欲しいと思っている自分をあさましいと思った。
「それともお前が押し倒したのか?」
「お、俺、コンビニから戻ったら濱津主任が呻いてて…、苦しんでるんだと思って、部屋にかけこんだら…、そ、の、おもちゃで一人でしてて…。さ、誘われたというか、その…。すみません。…も、勘弁…」
大山崎が晴夫の足首を掴んだ。晴夫を見上げる目が潤んでいる。
「僕としたこと、思い出したくもない?」
晴夫が足を引くと、大山崎は手を離し、Tシャツの裾を握りしめて俯いた。
「…濱津主任が、…その、何度もルカって言ってたから…」
絞り出すように言った大山崎の言葉に、晴夫はため息を吐いた。
一度風俗で試してはいるが、これまで自分の後ろを責めた恋人は瑠加だけだ。無意識に瑠加と呼んでも仕方ない。
「それで?」
「濱津主任は、俺じゃなくて、ルカさんに抱かれてたんだと思って…、取り違ったんだと…」
大山崎の肩が小刻みに震えた。
「僕、何って誘った?」
「…イキたいから頼むって」
晴夫は、あの時、側にいるのを大山崎と認識していたのか、それとも大悟だと思っていたのだろうか。いや、瑠加だと思っていたのかも知れない。
大山崎もそこそこ飲んでいたはずだ。自分が求められていると思ってしまったのだろう。
いつも晴夫の指示に従っている大山崎。仕方がないということか。
いま、ここでまた、と“指示”したらどうだろうか。
晴夫はそう思った瞬間に、奥の方で疼きを覚えた。
大山崎に押し倒されたら拒めないだろう。快感を知っている身体は求めている。男に、この男に抱かれたいわけじゃないはずだ。
ただ、快感が欲しいのだ。
大山崎はどうだろうか。身体は既に反応しているが、こんな風に縮こまっていては晴夫を押し倒すつもりはないだろう。
「今日、来る気になったのはなぜ?」
「ちゃんと謝らなくちゃと思って…」
「それだけ?」
「え?」
「あわよくば、僕とまたしたいと思ったんだろ?」
大山崎の肩が強張る。
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