13人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
お互い、それぞれ夕飯を済ませ、身体を清めたころにくるようにと言われた。
濱津の部屋のチャイムを鳴らして、ドアが開くと、如何にも風呂上りと言ったいで立ちに思わず抱きしめた。
「ハル…」
「そう呼ぶのはするときだけだって言ったろ」
腕の中で悪態をつくこの人が愛しい。
「するでしょ?」
「こんなところでか? ここでするわけないだろ。呼ぶのはベッドの上だけにしてくれ、って、やめろっ」
素直じゃない。可愛い。抱き締めたまま持ち上げて、肩に担ぐ。もう勝手知った部屋だ。背中を叩かれるのを無視して寝室に運んだ。
「ここ以外でハルって呼んだら、僕の方が異動希望だすからな」
ベッドにおろされると、きっとついさっき着たばかりの服を脱ぎはじめる。
こちらを見ないようにして、背を向けるから、その背中に覆いかぶさって、首筋に唇を触れた。
こうすると濱津は何とも言えないため息を吐く。
前の反応はないが、背中に響いてくる鼓動が強く、期待されているのがわかる。後ろをジェルをつけた指でゆっくりと暴いて行く。
濱津はされるがままで、こちらに触れようとはしない。
「ハル、好き。大好き」
「いうな。僕は好きじゃない」
反発するくせに腰をくねらせて、求めてくる。
「もう、入れろよ。イキたい…」
受け入れる気まんまんの濱津のそこは、いきり立った俺をぐいぐいと飲み込んでいく。
強い締め付けに漏れそうになるのをこらえると、なんだか鼻の奥がジンとした。
グイっと奥を突く。濱津は背を強張らせて、声を上げた。
「あぅ、っ…。孝、こ、…今のもっと、もっと」
「ハル、すっごく気持ちいい。好き。好き…」
気持ちいい。
濱津の声が大きくなっていくごとに、締め付けが強くなって、食いちぎられると思うくらいの痛みで、思わず呻きが零れる。
絶頂感に浸っている濱津はきっと気づいていない。力が抜けていくのを感じながら、俺もイク。
最高の瞬間だ。
まどろんでいる濱津の頬に唇を寄せる。
「キスは嫌だ」
手で押しのけられ、ぼんやりとした声で拒絶される。
「男同士だから?」
表情を見ようとのぞき込むと背を向けられる。
「会社で顔見れなくなる…」
「うちの会社、マイノリティに寛容だと思いますよ」
背中から抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!