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名前を呼ばれ、その声に擽られる。耳が最初に反応して、それから体中にその快感が伝わる。
「どうした?」
触れられた部分が灼けるように熱くて、和泉は縋るような目で彼を見つめた。
「キツイ?」
繋がっている場所はキツイ。
けど、でも違う。
もっと、より感じるのはその人の腕の中にいるという温もり、その人と繋がっているという事実への満足感。
でも……。
「もっと、激しくして」
和泉は首を振りながら答えた。
だって、もっと感じたいから。
何も考えられないくらい彼を感じたいから。
理性なんて完全に無くなってしまうくらい、強い快感を得たかった。
「和泉……」
「止まらないで。もっと、動いて。ぐちゃぐちゃにして」
結合部が立てる音が湿っているのは、いつものように優しい液体だけではなく、恐らく和泉の広がりきらなかったために裂けた部分からの血液のためだろう。
それがわかっていても、でも止めて欲しくなかった。
前戯に時間を割かないまま自ら繋がった和泉のその場所は、弘の怒張が収まるには小さすぎた。
けれど、そんなことよりも早く挿れて欲しくて。
「弘……んん……あっ、あっ、いい、そこ……もっと」
ぐ、ぐ、と自分の裡を突いてくる彼を感じながら、和泉は声を上げる。
躰が感じている感覚が大きくなればなるほど、和泉の心がどんどん醒めていく。
自分でもわからないその感情の動きが怖くて、和泉はもっと、もっと欲しいと願った。
痛くてもいい、それだけ彼を感じられるから。
そう思って、ほんの少しでも“イイ”と思える場所は総て突いてもらう。
そのあまりの激しさに、彼が一度中に放ったのも気付いたけれど、止めさせなかった。
「和泉……和泉……ああ、もうダメ。俺……イくよ」
彼の二度目の放出には時間がかからなかった。
そして動きが止まり、和泉の数え切れない放出によってぐちゃぐちゃに濡れた体の上に、彼が力無く倒れこんだのだった。
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