抱擁

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「セックスばっかだ」  終わってシャワーで躰を流しながら、和泉が少し拗ねたように言った。 「オレたちって、やっぱそれだけ?」  彼に裡側のものを掻き出してもらうのは、やっぱり少し恥ずかしい。  でも、和泉の躰の中に放った自分のそれを、彼はいつも自分で始末したがるのだ。 「それだけ、じゃないだろ?」  もうすこし足広げて、なんて指示をしながら言う。 「でも……こないだはセックスしかできなかった」 「しか、って」 「だって、時間ないとかって、した後すぐに帰ったじゃん。オレメシ食いに行きたいと思ってたのにさ」 「ああ、先月ね。あれは、悪かったよ。ごめんごめん。でも、しょーがないだろ、緊急の呼び出しくらったんだから」 「村田さんが行けばいいのに」 「あいつも忙しいんだよ、いろいろと」 「他にもいるじゃん、前原さんとか。なんで弘なわけ?」 「俺が有望株だから」 「自分でゆーかなー、そーゆーこと」 「だって、事実だしさ」 「じしんかじょー」 「過剰じゃないよ。相応の自信、てヤツだ。はい、終わり。先服着てな、俺もすぐ行くから」  ぶちぶちと拗ねている和泉の体を手早くシャワーで流し、バスタオルを巻いてバスルームから追い出す。 「今日は?」 「メシ? 焼き肉、行くか?」 「奢り? わーい」 「しょーがねーなー。おまえのが金あるくせに」 「いーじゃん、将来高給取りになるんだろ?」 「…………」 「じゃ、お先っ」
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