公私混同

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朝早くに私は一度家に帰り、シャワーを浴びて仕事に行く準備をする。 彼の部屋の合鍵はもらったが、同棲はしていない。 まだ社内でも秘密の関係だし、もう少しこのままでいた方がいいだろう。 そして翌週、調査に行く旅行当日。 旅館二軒とホテル一軒の調査。 期間は1週間。 旅館二軒は割と近く、同時に周辺は調査出来そう。 ホテルはそこから少し離れているエリアで別の調査になる。 まずは、1日目。 彼の車で旅館に向かい、出迎え調査。 旅館の玄関先で車を預け、男性のスタッフが駐車場へ入れに行き、入口では仲居さんが部屋に案内する。 一応、設定上は仕事で同僚と来ていて、男女別で部屋を取っているという設定。 食事は別会場で一緒に。 行動も一緒にするので、という説明をしている。 彼の部屋は8畳和室、私の部屋は12畳客室露天風呂付。 タイプの違う部屋の調査なのだが、何だか彼に悪いような……。 「どうせ、その客室露天風呂で一緒に入る事になる」 彼がそう言って、口角を一度上げて笑う。 完全に公私混同……。 調査に来たのだから、仕事はきっちりとしないと。
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