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遭遇
「ーーう? 眩し……………」
唐突に光が差し込み、目を開く。
「俺…………死んでないのか?」
横たわる身体が柔らかい感触を感じた。
段々と視界がクリアになるにつれ、その柔らかいものがなんなのか、直ぐに理解する。
「何で俺、花畑で寝て………………っ! ここ、どこだ!? さっきまで確かに……!」
そうだ、今さっきまではコンクリートの地面で倒れていた筈だ。
いつ移動した?
いや、そもそもどうして死んでないんだ。
あれだけの睡眠薬を飲んだら、普通死ぬだろ。
周りを見渡してみるが、緑生い茂る森の様だ。
時々鳥の囀りが聞こえてくる。
それにしてもなんて濃い花と木々の香りだろう。
むせ返りそうだ。
「誘拐とか…………じゃないよな」
実は死んでいなくて、どこかのデスゲーム会場に運ばれたとか?
いやいや、幾らなんでも突飛過ぎな発想…………でも無かったらしい。
「な、ななな! 何で人間さんがこんな辺境に居るんです!?」
「ーーえ…………は!?」
なんかスライムっぽいゼリー体の女の子が、怯えながら右手を剣に変えていらっしゃる。
冗談だよな?
いやいやいや、おかしい。
あんな生物が地球に存在する訳が……と、考えていたのも束の間、そのスライム美少女が剣を頭上に構えて突っ込んできた。
「うわあああああん!」
「泣きながら来たんだけど! って、あれ………… だ、大丈夫か……?」
返事がない、屍の様だ。
突撃してきた時はやばいと思ったが、まさかこけるとは。
しかも頭からぶつかったからか、頭部がそこら中に飛び散っていた。
「ーーふぇぇ…………いきなり襲ってごめんですぅ! 虐めないで欲しいです~! ふええん!」
「治るのかよ…………なんか良く分からんけど、悪い奴じゃないのか……? 泣いちゃってるし」
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