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…….なに下らない感想を抱いてるんだ、俺は。
よっぽど疲れてるんだな。
どうにも思考が空回りしている気がする。
等と、取るに足らない考えを繰り返していると、目の前を西部劇で見るあの枯草がコロコロ横切っていった。
「本物始めて見た……本当あるんだな」
未だに転がる枯草。
それがポンッと跳ねた瞬間、反対側の砂が盛り上がり、何かが飛び出した。
「…………んなぁっ!? でっけえ! なんだ、この蠍は!」
口の中に砂が入ったとか思ってる場合じゃない。
なんだこの、化け物は。
四メートル近くの図体をしてるぞ。
黒光りしている甲殻に、重機を思わせる鋏。
ドリルの様な大きさの尻尾に、大木かの足が八本、胴体から生えている。
そいつが俺とスラ子をターゲットにしたのか、迫ってきた。
「こ……このモンスターは、デススコーピオンですぅ!?」
デススコーピオンってあれか。
RPGで中盤くらいに向かう砂漠とかで出てくる、あのサソリ型モンスターだろ?
なんでそんな奴が転生したてで襲ってくるんだよ。
設定ミスってるだろ、この転生。
「逃げるです! これは勝ち目無いですぅ! ユウトさん、早くするです!」
「そ、それが……」
逃げたいのは山々だ。
だけど、恐怖で足が動かないし、声も出ない。
これはまずい。 何がまずいって、サソリがその馬鹿みたいにデカイ尾を、弓を引くようにしならせているのだ。
「ユウトさん! ユウトさん!」
スラ子が俺の腕を掴み、そこから連れ出そうと引っ張るがもう遅い。
既にサソリの尾の先端に伸びるスピアみたいな切っ先が、太陽の光を反射させながら俺の眼前、数ミリの所へとーー
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