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サラマンダー
「この……っ!」
もう助からない、頭蓋骨を貫かれて殺される。 それでも尚助けようと、スラ子が右腕を金属製のハンマーに変え殴りかかるが、間に合わない。
「スラ子、逃げろ!」
死ぬ以外に道は無いと悟り、ゼリーの涙を流すスラ子に叫んだ刹那ーー
「ユウトさん! ……え」
サソリの尾の関節が突然、爆発に見舞われ、尾の先端が左に逸れた。
そのお陰で左の頬を掠めるだけで済んだ。
「……っ!」
血が吹き出し、痛みが頬を走る。
だがその痛みで動ける様になったらしく、急いで後方に数歩下がるがーー
「くそっ! もう持ち直したのかよ!」
サソリは崩した態勢を整え、また俺に狙いを定めた瞬間、右側の台地からバズーカ砲並みの大声が木霊した。
「ようやく見つけたぜ、サソリ野郎! もう逃がさねえ! ここでてめえをぶっ殺して、その腹カッさばいてやる!」
エアーズロック頂上の端を見ると、朱色のボサボサな長髪を後ろで纏めた、腰辺りから太い尻尾を生やしている女性が、飛び降りる所だった。
「サラマンさんですぅ!?」
サラマン? ……サラマンダーか!
どうやらサラマンダーはアルターだったらしい。
尻尾のせいか、下乳が見えるか見えないかの際どい布を胸に巻き、ハーフパンツに似たズボンを履いた女性が、砂地に着地し。
素足が地面に到達した直後、砂を巻き上げながらサソリに向かって駆け出した。
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