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「消し炭にしてやんよ! おらっ!」
だいたいサソリとエアーズロックの中間辺りに差し掛かったサラマンダーは飛び上がり、突如両手に炎を作り出したのを見て、ハッとする。
もしかしてさっきの爆発も、あの女性がやったのか?
どうやら間違いないらしい。
連続で撃ち込んでいく轟々と燃え盛る炎の球がサソリの甲殻に着弾する度、先程の尻尾に起きた爆発と同じ爆発が発生しているからだ。
だがサソリはその爆発に多少よろけるだけで、ものともしていない。
いや違う、後ろ左足二本は砂に埋まっている。
あの状態なら少しの間なら時間が稼げるハズだ。
今ならばーー
「スラ子、退くぞ!」
「ユウトさん、動けるです!?」
「さっきは悪かった、ビビってて……もう大丈夫だ!」
「怖くて当然ですぅ! ささっ、逃げるですぅっ!」
スラ子に手を取られ、あの女性が最初に居たエアーズロックに向かう途中、その女の人とすれ違った。
「スラ子! てめえ、ここで何してやがる! ……人間だと!?」
どうやら人間である俺の手を引いて、一緒に逃げているのを驚いている様だ。
それが普通の反応なんだけどな。
「この人間さんはイイ人なんですぅー! 違う意味でもイイ人なんですー!」
「訳わかんねえこといってんじゃねえぞ、スラ子! 人間なんざあたしらを餌さとしか……餌さとしか……」
なんだ? さっきまで殺さんばかりの目付きで睨んできていたのに、今は俺を見つめてトロンとしている。
……あ。
今しがた気がついたが、右目が暖かい。
という事は、だーー
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