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ミニスラ子
「おおっ! 旦那、見てくれよ! あたしに角が生えたぜ!? なんか滅茶苦茶、力も沸いてきたぞ? なんでだ?」
「あぁ、それは俺の……特殊な能力で進化させたからだな」
「旦那、あんた思ったよりすげえんだな! 流石はあたしの惚れた男だぜ!」
腕を組んで豪快に笑う姉御肌なサラの額に、二本の赤い角が生えている。
竜人ってのも頷けるってもんだ。
確かにドラゴンっぽい見た目だからなぁ。
「うっし! 今のあたしならデススコーピオンも敵じゃねえな! いっちょ倒しに行くか!」
意気揚々と左拳を右手に打ち付けてるところ悪いが、もう足音も震動も遠ざかっているから今さら追っても追い付けないと思うぞ。
「少し休まないか? それに聞きたいこともあるし」
「仕方ねえな、旦那がそう言うんならよ……」
「そうです、そうです! ミニスラ子も聞きたいことがあるです!」
ミニスラ子? 意味がわからんのだが。
足元から声が聞こえたような。
……え? 足元に小人サイズのスラ子が居るんですけど。
なにこれどうなってんの?
「ス、スラ子ーっ!? どうしたその身体ぁぁぁぁ!」
「耳がキーンとなるです~!」
潰さないように砂を掬い上げるようスラ子を両手に乗せ、声を張り上げるとスラ子は耳を両手で塞いだ。
もしかして身体が小さいから、俺の声の周波数がしんどいのか?
「わ、悪い悪い。 んで、お前一体何がどうなってんだ? 何でそんなちっちゃく……」
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