魔王になる素質

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外堀が埋まっていく! こいつら、俺を魔王にする気満々過ぎるだろ! 「絶対嫌だぞ、魔王様なんて! 何度も言うが俺は弱いんだっての! 人間が集団で来たらヤバいんだって!」 それを聞くなり、二人が声を上げて笑い始めた。 「はははっ! 旦那知らねえのかよ? 魔王様の仕事は戦うことじゃねえんだぞ? あたしらモンスターを従える事だかんな! 戦いはあたしらに任せて、旦那はどっしり構えてれば良いんだよ!」 「ふふふっ! そうですそうです! 幾らでも薙ぎ倒します! 書類仕事もありますけど、それもモンスターを使えば楽できますです! ですから……」 俺は最後の言葉。 『魔王様になりましょう』を聞かないように全力ダッシュを決め込んだ。 だがミニスラ子は頭の上にしがみつき、尚も悪魔の囁きを呟く。 「やりましょうです、魔王様! きっと出来ます、魔王様!」 「そんなテンポの良い歌で洗脳しようとするな!」 魔王様だなんて、俺には無理だ。 そりゃあ人間をぶっ殺したい、誰でも良いから俺の復讐の贄にしたいと思ってはいる。 ただそれは魔王としてでなく、俺自身がやりたいこと。 そんな立場になってモンスターを利用するやり方はしたくない。 それに……魔王と一口に言っても王様な訳だ。 王様の仕事なんてやりたくもないってのが本音だったりする。 だって、めんどくさそうじゃんか。
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