魔王になる素質

3/4
前へ
/139ページ
次へ
「魔王様~になるんです~! スラ子の好きな人はぁ、魔王様!」 「しつけえ! だからやらないって……お前もか!」 「魔王様…………やっちまおうぜ?」 俺の隣で並走しながら、ウインクするんじゃない! 「だーかーらー! やらねえって……!」 その瞬間、前方に広がる広野に鎮座する三つのエアーズロックの内、中間の岩の台地の端が、雪崩かと思わせるほど崩れ落ちた。 「なんだ、突然!」 「旦那! あたしの後ろに……!」 「はわわわわ~です~!」 巻き上がる砂埃。 まるで砂が無重力にされされたみたいに、舞い上がっている。 その砂埃にシルエットが浮かび上がる。 あれはーー 「デススコーピオンか!」 「ようやく追い付いたぜ、サソリ野郎! 旦那! あたしから離れるなよ!? …………旦那!?」 地面を蹴って走り出そうとしているサラに離されないように、俺も足に力を入れた瞬間。 足元の地面が光りだした。 「な、なんだこれは!? ま、魔法陣……!?」 紫色の明かり、六芒星のマークと数式の様な紋様が浮かび上がり、俺の身体を分解していく。 「お父さんの文献で見たことがあるです! これは転移魔法陣です! ユウトさん、早くそこから………………っ!?」 もう此処から出られそうにない。 ならせめてミニスラ子だけでも……! 「あぁ、ちくしょう! こうなったら……サラ、スラ子を頼む!」 「ユウト様、なにを! きゃあっ!」 頭上のミニスラ子を掴み、思い切りサラに投げつけた。 「旦那!? くそっ、スラ子!」 弧を描き、重力に逆らえずミニスラ子が回転しながら落ちていく。 だがその刹那、サラがスライディングしながらキャッチした。 思いの外飛距離が出なかったのが申し訳無い。 「ーーっ! っぶね! スラ子、無事か!」 「ミニスラ子は問題ないです! ですが、ユウトさんが!」 「しまった、旦那!」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加