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スライムの言うことを聞くのは癪だが、確かにこのねちょねちょは気持ちが悪い。
早急になんとかしたいものだ。
それにしてもスライムの性行為があんな感じとは……。
まさか丸飲みされるとは思わなかったぞ。
溺れ死ぬ所だった。
「で、では案内しますです! こちらですです!」
先程の失態を取り消したいのか、張りきるスライムについていく。
○
「ーーいてっ! 頬に枝がかすって血が……」
「あわわ……だ、大丈夫です?」
ついていった先は、森の奥地。
真っ当な道など存在しないのか、草木を掻き分けて進んでいる。
それにしても歩きにくい。
人工の参道がどれだけ有難かったのか、異世界に来てから実感するなんて皮肉なもんだ。
「まあこのくらいなら、なんとかな」
左手で頬を拭ってみたが、大した血液の量では無かった。
「良かったですぅ。 あっ、もう着きますよ」
スライムの先を覗き込むと、拓けた場所が木々の葉っぱや伸びた草花の間から見え、安堵する。
「川のせせらぎが聴こえる」
「はい、こっちには川が流れているです。 お魚も獲れますですよ」
それは良いことを聞いた。
なんとか食料は確保出来そうだ……と、期待に胸を膨らませているとスライムが獣道から拓けた場所へと躍り出ていく。
俺も続いて獣道から出ると、目の前にボロボロになっている小屋らしきものがあり、太陽がその小屋を照らしていた。
「此処が目的地なのか?」
「そうです!」
「この小屋は?」
「間借りさせて貰ってるんです」
という事は、この小屋は彼女の物ではないのか。
なら誰の……?
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