魔眼の力

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「間借り? 誰が持ち主なんだ?」 「ちょっと待ってくださいです」 そう言い残してスライムは、今にも壊れそうなドアを開けて中に行ってしまった。 「待ってろったってなぁ。 お、あれが川か」 小屋の奥に位置する場所に川が流れている。 近寄って見てみると、透明度の高い柔らかそうな真水が一定の速度で流れていっているみたいだ。 「ーーん?」 ふと川の奥に小道が見えた。 まだ続いているらしい。 だが別に行く必要は無いだろう、と座ろうとした瞬間、小屋の扉が開いた。 「ユウトさん、これ見てくださいです!」 走ってきたスライムが持ってきたのは、一枚の羽だ。 しかし、なんの羽だ? 見たところ鳥っぽいが、いやにデカい。 木刀ぐらいの大きさだ。 重さもある……間違いなくモンスターの類いの落とし物だろう。 「うーん、この卵の黄身を薄くした色の模様…………なんだろ」 「分かりませんか?」 端的に言うと良く分からん。 分かる事と言えばこんな羽を持つ奴が、あんな小屋に住めないって事だけだ。 結局何も分からなかった。 どうやらスライムも誰が住んでいたかは知らないらしい。 「見当もつかないな。 ところで服とかある? 男物で」 「あっ! 探してないです!」 「なら自分で探すからいい」 スライムに触らせたら、またヌメヌメになるかもしれないからな。 残念そうな顔をしているが、こればっかりは任せたくない。 というか、モンスターとこんな仲良くしていいのか? ーーまあいいか。 もうヤッた仲だし。 つっても俺の童貞は健在だが……。
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