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「まあ、クスリの売人ってあながち違っちゃないけど。
今、俺、置き薬のセールスやってるんだ。ほら、家庭に箱に入ったの置いて貰うやつ」
言われて納得だ。社交的だし、チャラさ無くなったら、品良くて見た目も良いし。
「岩崎は、何してんの?」
「俺? 今スポーツジム。あ、でもインストラクターとかじゃなくて、内勤。手が空いてたら片付けとか清掃とかも」
「ジムなんだ。内勤は納得。全くマッチョに見えないもん」
「悪かったな」
「空手は?」
「とっくに辞めた。今働いてる所は24時間営業だから、今上がりで帰る所」
「ここ最寄り駅? 帰る所だったら、家着いて鼻洗えよ」
また笑われた。ちょっとムカつく。不快感に我慢、出来なかったんだ。
「違う、まだ先。途中下車した。それに、俺はすぐ洗って、流してさっぱりしたい主義」
イラっとして、言い返した。
知り合いに見つかって恥ずかしかったけど、何処で何しようが勝手だろうが。みんな洗面台でうがいも歯磨きもしてる。
「『すぐ洗って流してさっぱりしたい』か。岩崎らしいな」
「『らしい』? たった一年一緒のクラスだった朝水が、俺のなに知ってんだよ」
「知ってると思うけど。少なくとも岩崎よりは」
「は?」
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