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す、す、好きとか簡単に言えるなんて、本当にホストって感じ!!!しかも私はあなたの事知らないってのに、何なの、もう分からないことばっかり。
「あなたは、私の何を知ってるの?」
「名前と顔と家。」
「そういう意味じゃなくて!なんで私のこと知ってるの、好きってどういう意味?」
はぁ、と軽い溜息の後、射抜くような眼で見つめられて。まるでメデューサと目が合ってしまったのではないかと思うくらい動けなくて。
軽く、唇がおでこにあたる。
「こういう意味。」
おでこに、キスってどういう意味なの?
ぽかん、と間抜けな顔をしていたと思う。
ぷっ、と笑って、私の頭を掴んで城井杏樹の腕の中にすっぽり入れられた。
「俺は初めてお前を見た時からずっとお前しか見てないし、何があっても守ってやるし、こんな所に住まわせない。」
「うん、意味がわかりません!ちょっと離し、離してってば、」
嫌だね、と意地悪そうに言って、この人は私を抱きしめている。
不思議な感じがする。
前にも、こんなふうな安心感を、どこがで感じたような。
「いいか、何かあったら俺を頼れ。」
「いや、他人ですし」
「……お前、おでこにキスした意味知らねえの?」
「へ??」
「下心じゃなく心からの愛のキスなんだけど。まさか処女……」
「ばっ、ばかじゃないの!揶揄うのやめてください!」
抵抗虚しく私は抱きしめられているわけだけど、なんだか抵抗する気も無くなっちゃった。
だってこの人、ずっと、優しすぎるくらい私の恐怖感を取り除いてくれるんだもん。ただ抱きしめられて、ポンポンされてるだけなのに。
泣きそうになる。
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