出会いは覚えのない再会

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「え、まじで。」 「まじで。全部バレた。自主退職ってことは退職金もないし、事情が事情だから労基にも言えないし。」 「ここまで順調だったのにー!!誰だよ匿名って!卑怯じゃん!!」 「人に恨まれるような事しかしてないお家だから仕方ないわ……とりあえず散財しまくったツケが回ってきちゃったのかな。ボロアパートに引っ越す手続きしてきた所。」 「あのマンションには住めないわ、無職じゃ……。」 誰だよ本当に!って真希が私以上にキレ散らかしているおかげで、私は逆に冷静になってきてる。また就職活動、1からどころかマイナスからやり直しかぁ。 「ねえ、ちょっと葉奈!!聞いてる!?今日はあたしが奢るから飲みに行こ!!」 「え、ああ、ありがとう、行く。」 都内でも有名な歓楽街に足を運び、居酒屋から何軒もハシゴして。 久しぶりに「私って不運な生い立ちなのかも」なんて愚痴ったりして。 「次どこ行く?」 「まだ飲めるからなあ、バーとか?」 どうしようかね、って話してたら突然後ろから腕を掴まれて、反射的にその手をくるりと反して振りほどいてしまった。 「あ、すみません、痛かったですか。」 「おい、お前俺の事知ってるだろ!?」 「……はい?知りませんけど……?」 明らかに住む世界が違いそうで似てそうな、夜の男だった。 「……思い出したり、気が向いたら電話しろ。」 そう言って無理矢理渡された名刺には ホストクラブ A 城井 杏樹-Anju- と書かれていた。全くもって誰だかわからなかった。
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