出会いは覚えのない再会

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その日はもう帰ろうって解散して、すぐ寝て。 起きて引越しの準備をして、夕方には荷物を全部運んでもらった。マンションが改装工事するから一時的にアパートに引っ越すと言って、実家から助っ人を何人か借りた。 「お嬢、荷物はこれで最後です。」 「鼬(いたち)、公の場でそう呼ぶのはやめて。あと謝礼。これで皆美味しいものでも食べて。」 「気遣い有難く頂戴致します。」 「もう!やめてほんとに!あとは自分でやるから帰っていいよ、ありがとう。」 鼬は心配そうに、 「こんなセキュリティの欠けらも無いアパートに住まなくても、一度家に……」 戻ってきたらどうだ、と言いたかったんだろう。ごめんね、鼬。戻る気は無いの。 しかも私今無職だから。その謝礼のお金だって結構悩んだんだから!! そうです。私の実家は、裏社会のお家です。 三条組組長の孫で若頭の娘です。 それを全部隠して大学生からずっとずっと、一般人として生きてきたのに。 さすがに昨日反射的に護身術出ちゃった時はどうしようかと思ったけど。 誰だったんだろう、あの人。
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