ディス・ラブ

出会いは覚えのない再会

エアコンがついてるだけマシ。普通にピッキングで開けられそうな鍵だけど。トイレも暖かくないからカバーしたけど。お風呂とトイレが一緒のアメリカンスタイルだと思い込ませて、思い込ませて。

「今まで恵まれた環境だったんだろうなぁ。不運な生い立ちかもしれないけど。」

狭いアパート。思い切り断捨離してお金になりそうなブランドのバッグや財布は売って、最小限の荷物だけにして。

「よし、就職活動に行こう。」

もう一日でも早く仕事を見つけたかった。無職なんて肩書き、情けない上に親に知られたら帰ってこいって言われるに決まってる。

「え……？」
「申し訳ありません、ご紹介できる職業がございません。」

おかしい。おかしすぎる。
匿名の誰かが、根回ししてるの？
紹介所を3件回って、全部同じ回答。私は給料安くてもいいし募集要項や必須項目はクリアしてるはずなのに、全部断られてる。

誰なの、匿名って。
私をこんな惨めにして何がしたいの。