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結論を先に言うとすれば、出なかった。15コールも待った私は何を聞きたかったんだろう。
「アホらし……」
お金だっていつか底を尽きるし、そりゃ、実家に戻れば億のお金が入るような環境になるけど。
私は普通に生きたくて、相続を全部放棄するって言ったの。
こんな所で、立ち止まって嘆いてる暇なんてないの。
聞き慣れた着信音が鳴る。真希からだ。
「はーい。」
『よかった、生きてた!どう?仕事決まりそう?』
「それがさ……」
全て話すと、真希は少し黙った。
『……この前の、あの、ホスト。連絡ってしたの?』
「ああ……さっきかけてみたけど出なかったから、名刺捨てた。」
『そっか。とりあえず焦らずめげずに頑張ろ!!あたしもツテとか聞いてみるし。』
「ありがとう。なんかあったら連絡する。」
なんであの城井杏樹の事を聞いてきたんだろう。まあ、あんな出会い方じゃ気になるか。
困ったな。仕事がなきゃ生きていけないのに。
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