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もう逃がさないと言わんばかりに、抱き潰された。体は素直で、私が誰を愛しているのか明確に反応した。
「毎回毎回、ここまでやられてたら私しんじゃう……」
ぐったりしながら甘い余韻の中、私は左手の薬指を眺める。
「ねえ、杏樹さん。これ高かったでしょ?」
「野暮な事を聞くねぇ。俺の月収の3ヶ月分、なんて言ったら返されそうだなら聞くな。」
「そそそそんな高いものは!!!」
「ばか。俺の月収の3ヶ月分なんてな、毎月毎月収入違うんだから分かるわけないだろ。まあ、その辺の既婚者よりは高いけど。」
この指輪にどれだけのお金が使われたのかは一生知らなくていいけど、この指輪に嫌われないように、ちゃんと見合う人間にならなきゃ。
「杏樹さん、大好き。」
思ってることも、ちょっとずつ、言えるようにならなきゃ。
「うん。俺も大好きだよ。」
三乗葉奈、プロポーズをお受けしました。
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