美男と醜男

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私、天道(てんどう) 日輪(かりん)は自他共に認める美男である。 煌めくネイビーブルーの髪は絹糸の如く繊細に腰まで流れ、柳の葉のように細く美しい眉と長い睫毛に縁取られた切れ長の目、高い鼻筋に小さく形のいい唇。 180cmという長身ながら身体には無駄な肉は一切ついておらず、プロポーションも抜群だ。 そんな私の姿を認識した者は老若男女関係なく、100人中100人がうっとりとため息をついてから感嘆するのだ。 くわえて職業は小説家。それもただの小説家ではなく、"超人気売れっ子作家"。 新作を出せば飛ぶように売れ、多くの作品が映像化している。おかげでいくつもの出版社から引っ張りだこだ。 私は容姿だけに恵まれた男ではなく、才能にすら溢れている。 "天は二物を与えず"というが、あれは嘘だ。私には美点しかなく、欠点などありはしない。 誰もが羨む存在、それがこの私だ。
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