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トライアウト
管理人がテキパキと仕事をしてくれて、程なくしてジュニアのトライアウトが開始した
軍の担当教官が仕切り、テストする
そしてあっさり合格した
「これで16歳だと?今までサ自治区で何してたんだ?あそこには兵関連の施設はないぞ」
教官から見ても驚異的なスペックだったので怪しまれたが、管理人が「サ自治区で元兵士に育てられた孤児だそうですよ」と捕捉すると納得したようだ
ジュニアのトライアウトをずっと見ているカイジューダブル
「大きくなったものねえ…」
しみじみと呟く姿に管理人が
「え?お母さんなの?」
と反応してみたがスルーされた
「お母さんと言えば、怪獣から生まれたそうですね」
「?…ああ、アタシの事」
「僕もなんです。サ自治区の孤児でした」
「……」
「だから結婚もしていません。この国に来たのが一年前ですので。あ…記憶喪失でしたねスイマセン」
(そうか…!)
カイジューダブルは遠い眼をした
(じゃあ、この子の父親も、アタシだわ)
今、カイジューダブルの中にいるのはヴァルハラである
彼は12歳の時に誘拐され、サ自治区某所でカイジュー合体儀式を受けた奇跡の生き残りであった
"入れ替わり"を皆に説明するのは困難だろう
暫くはこのまま息子を見守りたい
いや
むしろこのままでもいいのかもしれない
そんな気すらしてきた
(そんな訳にもいかないか…あの子も娘には違いない)
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