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その内に身体の内側に熱が籠もり、下手を打つと暑気当たりを起こして、最悪意識を飛ばしてしまう事すらあるのだ。
一度稽古中に倒れてから気をつけてはいる。
それから、以前よりずっと僕は夏が嫌いになった。
今は、蝉の声にすら苛々が増すばかりだ。
「暑いからといって素振りを疎かにしていると、いざという時に力が入りませんよ。今日はこの辺で終わりますが、各自朝夕の鍛錬を欠かさぬようにして下さい。では終わります」
「沖田先生。御指導、誠に有り難う御座いました」
「有り難う御座いました」
皆より少しだけ稽古の進んでいる次兵衛の言葉に続いて、他の男達も一礼する。
僕も皆に頭を下げてから、からりと扉を開けた。
夏の陽射しが痛い位に僕へと降り注ぐ。
風があるかと思っていたのだけれど、埃っぽい庭先からは思わず顔を顰めてしまう程の草いきれが押し寄せて来た。
……これじゃあ、汗臭い道場の中と大して変わらないじゃないか。
密かに悪態を吐く。
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