孤高の花(はな)

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……暑い……どうにかならないかなぁ のろのろと歩きながら道場代わりに借りている納屋の角を曲がろうとした僕は、丁度向こう側から曲がってきた人間にぶつかって尻餅をついてしまった。 油断してたみたいだ。 人一倍気配に敏感な僕が、歩いて来る人の気配に気付かなかったなんて。 「すいません」 「何だよ…って、餓鬼じゃねえか」 ……ああ、そうだ。この人は 「薬屋さん?」 「歳三だ。好い加減に名前位覚えろ、糞餓鬼が」 チッ、と舌打ちした歳三さんが手を差し出して来た。 「立てるか、餓鬼」
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