何だよ、砂山崩しただけじゃねえかよ

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両親が懐かしい土地で挨拶回りしている間、俺はレイと連れ立って、転校する前の小学校(つまりは今レイがいる学校)へと向かった。 俺はここまで父ちゃんの車に乗ってきたから、クソ暑い中、わざわざ歩かなくちゃならないのがもどかしい。 それに別に学校へ行く用事はなかった。 特に大きな思い入れもないし、会いたい奴もいない。 本当に暇つぶしだった。 ただ「幼稚園に行こう」等とこいつに言わせないよう、あえて行ったのだ。 レイは、青と黒のグラデーション美しい新品の自転車を持っていた。 いつもの癖で、俺はその後輪を蹴ってやる。 レイは自転車に乗っていなかったから倒れずに済んだけれど、案の定、思いっきり睨まれた。 「ちょっと蹴らないでよ」 だがレイが言い返すのは、たかだかその程度だ。
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