2人が本棚に入れています
本棚に追加
両親が懐かしい土地で挨拶回りしている間、俺はレイと連れ立って、転校する前の小学校(つまりは今レイがいる学校)へと向かった。
俺はここまで父ちゃんの車に乗ってきたから、クソ暑い中、わざわざ歩かなくちゃならないのがもどかしい。
それに別に学校へ行く用事はなかった。
特に大きな思い入れもないし、会いたい奴もいない。
本当に暇つぶしだった。
ただ「幼稚園に行こう」等とこいつに言わせないよう、あえて行ったのだ。
レイは、青と黒のグラデーション美しい新品の自転車を持っていた。
いつもの癖で、俺はその後輪を蹴ってやる。
レイは自転車に乗っていなかったから倒れずに済んだけれど、案の定、思いっきり睨まれた。
「ちょっと蹴らないでよ」
だがレイが言い返すのは、たかだかその程度だ。
最初のコメントを投稿しよう!