父と息子の絆!

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「な、なんかいるぞ! そこに! 得体が知れないものが!」 お父様がガクガク震えながら燭台をかざし、部屋の隅を指さした。 「な、何かって……?」 「だから! そこに! 騎士の出来損ないみたいなのが……!」 「もしかして……これですか?」 お父様が指さしている方向へ、マルコーがスタスタと近づく。 「やめろ、マルコー! 近づくな! 喰われるぞ!!」 お父様は腰を抜かさんばかりに怯えきっている。いかめしいツラ構えしてるくせに結構ビビりだな、この親父。 そんなお父様をよそに、マルコーは慣れた手つきで騎士の出来損ないの背中に触れた。 「安心してください、お父様。これはぼくが作った自動式機械人形(オートマタ)です」 「……へっ?」 マルコーが人形の背中についたネジを巻く。 ギコギコと軋んだ音を立てて、人形がぎこちなくバンザイを始めた。 「……え、これほんとにお前が作ったのか?」 「はい、お姉さまも手伝ってくださいました」 「すごいぞ、マルコー! さすが我が息子だ!」 「わっ……!」 お父様はマルコーを抱きしめ、頬をすり寄せた。 「お前にこんな才能があったとは。もしかして天才じゃないのか?」 さっきまで騎士の出来損ないとか言ってたくせに、ずいぶんと調子がいいなオイ。 しかしそんなお父様の手のひらクルーなほめ言葉を、マルコーはくすぐったそうに聞いている。 「天才だなんて、そんな……ぼくはただ、お父様に教えてもらった工作を、応用しただけなので」 「……そうか」 お父様のテンションがスンッ……と落ちる。 「楽しかったなあ、あのころは」
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