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その後も俺は晶と順調に時間を重ね、柊平とも仲良くやっていた。どうやら縁があった俺たちは3年連続で同じクラスになった。
「もうこの組み合わせ飽きたよー!」と嬉しそうに笑う晶を見ているのが幸せで堪らなかった。だから晶との関係が先に進めない事に不安は覚えていても不満はなかった。そう言い聞かせていた。
いつものように俺の家で2人きり。軽いキスを交わして抱きしめ合ってそれで終わり。
「あのさ……」
「ごめん、もう帰らないと。」
「わかった。」
いつもこんな感じではぐらかされてしまう。別にセックスする為に晶と付き合っている訳じゃない。けれど本音を言えば触れたくて仕方がない。晶の心も身体も全部を知りたい。
そのまま何の進展もなく卒業が間近に迫ってきていたある日、久し振りに3人で俺の部屋に集まって楽しい時間を過ごしていた。
「みんな希望の大学に受かってよかったね!」
「晶は俺のおかげでしょ?」
「本当に柊ちゃん様様だよ。ありがと! 洸ちゃんもよく頑張ったね!」
「めちゃくちゃ勉強したからな。晶と会うのも我慢したし。何かご褒美くれー!」
「うん……考えとくね。」
ちらりと視線を向ける俺に、晶は俯き少し間を置いてからそう呟いた。
「じゃぁ俺そろそろ帰るね。」
俺たちの様子を見て何かを察したのか、柊平は座っていたベッドから立ち上がった。
「おう。またな!」
「私も一緒に帰る。」
「え、でも……」
柊平は伺うように俺に視線を向けた後、何とも言えない空気に戸惑っているようだった。
「今日バイトなの。言うの忘れてた。ごめんね洸ちゃん。」
晶は少し慌てながらそう言った後ですぐに部屋を出て行った。
2人を見送った後、床に寝そべって天井を見上げた。こんな時に出るものといったら溜め息くらいで、俺は1人になった部屋の中で虚しい気持ちを吐き出していた。
バイトはきっと嘘だ。
俺と2人になるのが嫌だったから?
何で……?
何でだよ……晶。
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