とくべつ

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美律自身、性に関して奔放なのは自覚している。特定の相手を作らず、気の向くままに肌を重ねる行為に何の疑問も持たずに生きてきた。刹那の温もりと一時の快楽があればそれで十分だと思っていたから。 けれど。―――自分の内面を曝け出してする行為がこんなにも恐ろしいなんて想像もしていなかった。 一度口に出してしまった欲求は、じわじわと胸の奥から沁み出して、それまで持っていた性に対する概念を全て塗り替えてしまうかのように美律を内側から追いつめてくる。 こんな感覚は知らない。こんな反応は自分じゃない・・・。 得体の知れない感情と感覚に怯えた美律の瞳が涙で濡れて、止め処なく頬を流れ落ちていく。 「――――どうして泣く?」 響尾の低く心地好い声が美律の唇に振動を伝える。 ふわりと触れただけの柔らかな感触に、潤んだ視界を数度の瞬きでクリアにすれば、すぐ目の前にあるのは響尾の真剣な瞳。 聞かれたことに応えなければと思っても、この感情を説明する言葉が見つからない。 「わかんない・・・」と小さく言って、唇を震わせ響尾を見つめた。
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