とくべつ

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しなやかな腕が自分の肩に縋り付くように回される感触も、すらりとした滑らかな脚が腰に絡む様も、丸い額が胸の上で擦りつけられ快楽を逃そうとする必死さも・・・何もかもが愛しくて余すことなく味わい尽くしたい。だからこそこの姿を、理性を手放すことなく見届けたいと暴走しかける感情を必死に抑えていたのだ。 それでも、自身を締め付け蠢く襞を掻き分けて、美律の最奥に熱く沸いた欲望の証を叩きつける辺りには、ほとんどそんな余裕など消えかけていた。 声を嗄らして啼く美律はひたすらに美しく、その姿はこの上なく響尾を昂ぶらせていく。 だから、何度目かの熱を蠢く胎内に放ち、離れ難いその中から抜け出た後にくたりとシーツに沈み込む華奢な体を抱き留めて初めて、美律が意識を飛ばしていることに気付いた時は思わず舌打ちをしてしまった。 一度強く抱きしめて、涙やら何やらでぐっしょりと濡れたままの頬を指先でそっと撫でると、美律は不満げに小さく喉を鳴らした。 「・・・美律」 深く落ちているであろう意識が、そんな呼びかけではきっと戻っては来ないとわかっていても、響尾は愛しげにその名を呼ぶ。 べたつく肌を綺麗にしてやらなければ、と思い至ったのは、首筋と胸元にいくつかの印を残してからで。 年甲斐もなく情けねぇな、と自嘲気味に苦笑しながら、響尾は静かに寝室を後にした。
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